きくやは実は先代がいません。
養蜂という分野は「先代が養蜂をやっているから跡を継いだ」くらいで、
普通なら一から始めてみようなんて思わない業界かもしれません。
私が養蜂業界に興味を持ち、始めてみてわかった事は
この業界は「本物」を売っていないということでした。
前に、ある地方へ出掛けたときに
「ブドウの蜜」がドライブインで売っていました。
私は試供品があったので試食したのですが
グレープジュースに水あめを混ぜたような甘ったるい果実酒のような味に驚きました。
養蜂を営んでいるものならわかるのですが、
ブドウは蜜を出さないのです。
おそらく百花蜜といわれる様々な花の蜜にブドウの香料や添加物を入れて
水あめで味を調整した超「加工はちみつ」だとおもわれます。
また、地元のスーパーには
「外国産クローバー蜜」と書いてある黒褐色の蜜が売られています。
それもかなりの値段です。
本当のクローバー蜜は無色に近い淡い黄色の透明色なのです。
外国製は黒いなんてことはありません。
クローバーは雑草としても、また牛の飼料としてもいろいろな品種が改良されていますが、
すべて透明色の蜜なのです。
おまけにきくやの蜂場にはクローバーを植えていますが、その種子は外国産の種子です。
でも蜜は透明なのです。
結局のところ、まぎれもなくその蜜も百花蜜なのです。
最近では「コーヒーの木」からとったコーヒーの香りがする蜜や
あげくの果てには「南国パイナップルの蜜」というものまでネットには出回っています。
国内で養蜂を営んでいる養蜂家からしてみると悲しい現実です。
私はみなさんにはハチミツの知識を持ってもらおうとは思いません。
本物のハチミツだけを採って、販売して、それをみなさんに知ってもらえば
はちみつはもっとみなさんの身近な食品として、紛い物に振り回されない食品になると思っています。
国内で養蜂を営んでいる方々も皆同じように考えてくれていると思います。
お客様に正直に本物だけを提供する事が、きくやとしてのできることです。
そうすることでもっと養蜂という業界も明るい方向に向かっていくと思います。
ちょっと堅い話になってますが、どうぞきくやの奮闘をこれからも応援して下さいね。
蜂商 きくや
どうか本当のハチミツの味を知ってください。